空気感応性固体電池電解質のエアフリー搬送技術
固体電池は一般的に不燃性であり、将来の電気自動車への搭載が検討されています。しかし、固体電解質は空気や水分に非常に敏感であることが知られています。
北米トヨタ研究所とペンシルバニア大学の研究者は、ハミングバード社製のエアフリー試料搬送用ホルダーを用いて、空気に敏感な固体電解質材料(チオリン酸リチウム – LPS)をTEM内部に移送させることに成功しました。搬送用ホルダーを使用した場合と使用しない場合では、試料に明らかな違いが見られます(右図)。搬送用ホルダーを使用した場合、LPS粒子の表面において酸化や劣化が見られず、標準的なホルダーを使用した場合、LPS粒子の酸化や劣化が見られました。電子分散分光法(EDS)データからも、表面に有意な酸素が存在しないことが確認されました。同じLPSでも、保護機構を持たない標準的なホルダーでTEMに導入したもの(図-右下)は、表面が酸化され、多孔質な微細構造になってしまっています。
Data Courtesy: Dr. Nikhilendra (Nik) Singh and Dr. Timothy S. Arthur, Toyota Research Institute of North America, James Horwath and Dr. Eric Stach, University of Pennsylvania.